僕が小学校の低学年の頃、両親と兄弟三人の家族は本郷の赤門前の長屋に住み、真砂小学校に通学して一生懸命に生きていた!
今もある、東大の学生や大人達が群れる正門前の本屋街は、僕達ガキ連の遊び場だった。或る時気が付くといつもはガラス越しで覗いていた店内に大人達に挟まれ本棚の前に居た。 すーっと手が伸びて1冊を抜き取った、夢中で外に出て裏の寺の境内へと走り込んだ。 それは「芥川竜之介」の芋粥・鼻など子供向けに編集されていた。 透けるような白い薄紙に漆黒の活字、絵も有り仮名も多く・・時間を忘れて読み進むと悪い事をしたり’欲張ると必ず其の報いを受ける、そんな内容だった、恐ろしくなって真新しい其の本を、夕暮れの荒れた墓場に抛りなげ何事も無かったように家に帰った。 夕食は芋粥では無く大根葉の多い雑炊だった。
今日は家を出るのが遅れてしまって夕暮れ近くにK図書館に入った。返本して、選んだ5冊をリックにつめて2階へ行く「児童書コーナー」の一角を覗くと、あの頃の自分と同年齢か幼な子達が棚から溢れた何冊もの絵本を拡げて、その世界で遊んでいる。
ーX'masの飾り・可愛いヌイグルミが置かれた「子供の領分」でー
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