上野広小路は僕にとっての大都会だった〜
生まれて〜子供時代〜20才までを文京区根津の街で暮らした私には〜
上野駅の近辺は都会ではあっても・・上野の山、西郷さん、アメ横・・
三本立て映画館、呼び込みの声、みやげ物屋、はとバス乗り場、大衆食堂・・と猥雑なエネルギーが渦巻く田舎臭さが漂う都市だった。
一方・・広小路の松坂屋デパートを取り巻く環境は道幅も広く〜
銀行とかのビルや洋品店、時計店、レストラン、赤いテントのCafe'が〜
適当なバランスで配置された見通しの良い直線的な街並で・・
洗練された大人の街の印象がしていた・・。
■松坂屋の本館と南館の間を進むとこの別館が目に入って来る〜
大正か昭和の初期からの時代を潜って来た古武士の風貌をして・・
古色蒼然とした5階建てのビルは、今は消滅した東京駅の丸ビル等と同級生だったのではないかと推察出来る。 ダークな時代色を帯びた外壁面には階段エレベーターの垂直面が屋上へと伸びて、ビルの角はゆるくアールで型取りされてある、そしてビル全体を均等に長方形の窓が嵌っている。
毎回このビルに出会うと目の奥の網膜に優しいタッチで投影される・・
ー東京の街中を都電が走り回っていた頃、丁度この辺に映画館があった〜
たしか「広小路シネマ」と云う洋画専門館だったと記憶する・・
学生の身には大人の劇場・・そんな雰囲気のシャレた空気が流れていたー
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