【墨田区本所ー1丁目あたり】
頭上に空と地上を断ち切る巨大なコンクリートの回廊(高速6号向島線)が通っている、そこを疾走する車の群れが吐き出し巻き起こす震動と唸りが絶えず降って来る。
午後の3時を過ぎて回廊の陰になった家々が生気を失った様子に見えている・・。
うす墨色に沈んだこの街の路上を行く人達の姿もあまり見かけない・・。
清澄通りに出ると、この大通りを切れ目も無く車が列になって流れてゆく〜
華やかな彩りの商店やShopは歩を進める道の両側には見当たらずに、10階建てぐらいのマンションの幾つかを間に挟んで、殆ど何かの制作会社か工場または問屋の倉庫と、屋根から煙突が伸びる作業所などの・・地味な絵柄が広い道の両側を埋めている。
清澄通りがこんな大通りになる以前から、そこに生活し続けていたと思える古サビ色の家屋に出会う・・その先で金網が破れた駐車場からコンクリートの回廊が再び姿を現した。少しのタイム差で高速6号の橋脚が投げかける陰は確実に濃度を増して墨色を深めている。
次の角で道を曲がると目立つ大きなモルタル造りの2階屋が現れた〜
本所1丁目の青い住所表示板が塀に貼ってあり、奥の屋根上に昔の物干が黒く見える。
うす墨色の時代の刷毛目が、この2階屋の全容をスッポリと余さず塗り上げている。
ー何か熱処理を必要とする仕事の家なのかも知れない・・
それはステンレスの煙突が新色で輝いているから〜
うす墨色はゆっくりと日々を重ねた時の色、一日一日の街の吐息の色なのかもー
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